なぜだろう?

人生、何が起こるか本当に知らないよね。


非常勤教師として勤めているところの秘書から電話がかかってきた。
「先生、すみません、○○...なにさんだっけ、ごめん、名前ははっきり覚えてないけど、この方ご存知なの?」
秘書のKarenちゃんはその苗字と名前の一文字を言ってくれただけで、
私は自然に、その名前を口にした。
「○○○さんですよね。」
記憶の中に封印された名前、もう二度と口から出すことがないだろうと
思うあの名前、いざというとき、心の壁を破って、一瞬で剥ぎ出した。


そう、初恋の彼。


分かれても友達でいようね。約束したのに。
お互い忙しいだろう。三年前、自然に連絡が途絶えた。


まあ、このままでもいいじゃない。どうぜお互い新しい恋人もできたし、
彼と友達でいようと思っても、なんとなく彼にすまないなぁと気がする。


「先生、あの人はね、私の同僚の知り合いなの。なぜかずっと先生を探してるみたいですよ。たぶんどこかで先生がここで日本語を教えてると知って、私の同僚に先生の連絡方法を教えてもらいたいのよ。」


あんまりにも爆弾的な話で、頭の中に一瞬真っ白になった。


あの人、また現れてくるの?私の目の前に、もう一度姿を見せてくれるの?


忘れたくて忘れたくて忘れられない人よ。
私たちがどんな形で再会するのか?
あなたはいま、幸せなのか?ごめんね、あなたに幸せを与えてあげられなかったわ。
今度会うとき、幸せな微笑みを見せてくださいなぁ。
それで、私は悔いなく愛する男の花嫁に...